最初にTPPについてです。
昨年の11月に横浜でエイペック(AEPC)・太平洋に面する21の国と地域のトップが集まり首脳会議が開かれました。その議長国を日本が務め、目玉になるものをということで、管首相は、昨年の10月に唐突に臨時国会の所信表明で「平成の開国」と呼びTPP参加を表明しました。
すべての関税をゼロにする環太平洋経済連携協定・TPPついては、昨年12月の定例議会で「TPP交渉参加反対に関する請願」を全会一致で可決しており、全国の県、市町村議会でも同様の動きです。
先日の3月3日裸押合大祭に東京から参加した「東京やまと会」の方とコシヒカリや八色スイカの談義になったので「TPP」の話をした。すると「TPPの参加は当たり前でしょう」「貿易立国の日本は自由化は避けられないのでは」と、いとも簡単に返事は帰ってきました。
これは大変だと思い、ていねいに、めげずに話しをしますと「そんな事実があるんですか」「本当ですか」と、身を乗り出し真顔で聞いてきました。
故郷から東京に出て行った「東京やまと会」の人たちでさえ、正しく情報が届いていないのです。ましてや都会や東京に住む人たちは「TPP参加は当たり前」「新聞にも書いてあるでしょう」「TPPて何?」と、ほとんど気にしていないのが現実だと思います。
しかし、今開催している衆参両議院の予算委員会でも与党・野党ともTPP参加には反対や慎重論の議論が多いし、内閣府の世論調査でも、将来の食料輸入に対し93%が不安があると答えている。
それでは、いったい誰がTPP交渉参加を後押ししているのか。それは、一部大企業とマスメディアだ。マスメディアは、こぞってTPP問題を、「農業はいつも自由貿易に反対し、国益にマイナスだ」と、「農業保護対国益」の構図を報道している。
辞任した前原外務大臣は、「GDPに占める割合が1.5%の農業を守るために、ほかの産業を犠牲にしてよいのか」という発言がありました。しかし、GDPに占める農業の割合は、イギリスは0.8%、アメリカは1.1%、フランスは1.8%と主だった国も同じような水準です。多くの国で日本よりも手厚い農業保護が行われており、前原外務大臣の話は何なのだと声を大にして言います。
又、農業は補助金で守られているとよく言われますが、日本はアメリカや他国と比べて保護のレベルが低いです。日本は世界で唯一国が農家から農畜産物を買う価格を保証する「価格支持政策」をやめた国です。日本はWTOで約束した農業保護の削減目標額の85%を達成しておりますが、アメリカの達成度はまだ33%で、アメリカは日本よりはるかに農業を保護しているのです。
そして、コメは788%の高い関税で守られていると言われていますが、確かにコメは高いですが、農産物の平均関税率は11.7%、EUは19.5%、アメリカは5.5%、韓国は62.2%と主要国ではアメリカに次いで関税率は低いのです。
このように日本ほど解放された農産物・食料市場はないと言っても過言ではありません。
TPPは農業問題だけのように言われているが、その範囲は、投資、競争、環境、知的財産、政府調達、通信、郵政、電子商取引、紛争処理、労働力や金融、医療や介護分野などのサービスにまでおよぶとされ、その作業部会数は24あります。
日本はその作業部会で具体的に何が話し合われているのかわからないのが実情で、それでTPPへの参加という。敵の内情もわからずに飛び込んでいく指揮官がおるでしょうか。本当に嘆かわしいことです。
TPPは、わが国の枠組みそのものをかえることになるかも知れませんし、まさに我が国の長期的な国家戦略が問われていることを認識すべきで、国家存立の問題と思いますが市長の見解を伺います。
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